池をお作りなさい!

亀の花子が紹介する、亀の飼い方、池の作り方

嗚呼庭池、我が理想のマイホーム

ごきげんよう皆様。わたくし、ミドリガメの花子と申します。わたくしのブログを読みに来ていただいてとても嬉しくてよ?

え?なぜ亀なんかがブログを書いているのかですって?それには、琵琶湖よりも深い理由がありますの……。

 

まずはここに、わたくしの自己紹介と、それからなぜわたくしがブログを書き始めたのかをお伝えしてゆきますわ。どうぞおくつろぎになって?

 

 

コホン……あれはまだわたくしがとても小さく、透き通った水に浮かぶハスの葉のような緑色をしていたころ……わたくし、とある一家に貰われてまいりましたの。

 

一昔前では、ありふれた話でしたわね。無邪気な人間の子供が、お祭りで見かけた亀を嬉しそうに持って帰る……どうにも幼い人間は、何かと自分以外の生き物を閉じ込めておきたくなるようですわ。わたくしには理解できませんけれども、きっとそれが人間の性なのでしょうね。致し方のないこと。かくしてわたくしは、ある家族の一員になったのでございます。

 

そしてこれもありふれた話……。はじめのうちはそれは可愛がってくださいましたのに……だんだんと水替えの頻度も減ってゆきました。そして小さな子供が育ち家を巣立ってからは、父親が世話を買って出てくださいましたのですけれども……父親も忙しい上に、お年を召した身。ほとんどの間、わたくしの住処の水は私より濃い緑色に……。

 

しかしそこはわたくし、それはそれは生命力の強い亀に生まれた身。伊達に南米から北米にまで野性の生息地を広げ、果ては勝手に連れてこられた地で外来種だなんて厄介者呼ばわりされておりませんわ。そんな環境に居ても、そして冬は氷点下の野外に放置されても、すくすくと育って立派な成亀になりましたの。(春から秋にかけて、食事はきちんと貰っておりましたから。)

 


 亀生も亀それぞれ。きっと私はこの狭い水槽の中で一生を過ごす身。食べ物を不足無く与えられ、悪意も生態系の知識も無い人間がそうするように野に離されなかっただけ良かったもの(自由への憧れはあっても、地元の生態系バランスを脅かす身になるのは不本意でしてよ)……そう思って、長い年月を生きて参りましたの。


それが突然変わったのはつい一昨年のこと。不意に、この家の娘のひとりが帰省されましたの。身体を壊して帰って来たと聞きましたけど、不憫なものですわ。


そんな彼女は、きっと同じように自由の無い私も不憫だと思ったのでしょうね。体調が戻ってくると、私の住処をもっと心地良いものにしようと身を砕いて下さいましたの。なんて優しい子!


彼女のおかげで、わたくし今のサイズになってからは初めて、両手両足を伸ばして透明で深い水の中を泳げるようになりましてよ!(住処の詳細はまた後ほどご説明差し上げますわ)嗚呼、なんて快適なんでしょう!こんなこと、生まれて間もない頃以来ですわ!


彼女のお陰で、わたくし知ってしまいましたの。水の中をすいすいと泳ぐ喜びを……。わたくしの身体は、その為に作られていたということを心底理解致しましたわ。



だけども、わたくしが知ってしまったのはそれだけではありませんでしたの。



わたくしを気にかけて下さった娘は、聞けば若い頃は野生動物の医者を目指し、渡米した経験がおありのこと。(どうりで長い間見かけないと思っておりましたわ)


当然、わたくしの生態や住処の作り方を学ぶ上で、海外からの情報も手に入れたようですの。


そして、彼女はわたくしに語って聞かせて下さいましたわ。


日本にはまだ広まっていない、


自然の力を利用した、


限りなく管理労力の低い、


それはそれは美しい、透明な水を湛える見事な池を作る方法を。



彼女が見せて下さった画像や動画はまるで天国でしたわ‼︎ 今のわたくしの住処ももちろん悪くはありませんけど……ここが例えば集合住宅のひとり部屋だとすれば、それはそう、まるでハリウッドセレブの豪邸のよう……。


嗚呼、あんな池に住めたらどんなにいいことでしょう!色とりどりの鯉ととともにすいすいと泳ぎ、日当たりの良い岩を選んでは甲羅干しをして、岩陰に休み、気まぐれに土を踏んで、あたりの草を食むことができたらどんなに……。


そしてどうやらそれを望んでいるのはわたくしだけではありませんでしたわ。彼女自身も、そんな場所のそばに住みたいと仰っておりましたの。人間は普段水の中では暮らしませんですけれども、水辺には同じような憩いを感じるとのことですわ。不思議なものね。わたくしたち、もしかしたら思っているよりも多くの共通点を持っているのかもしれないわ。


だけれど、全てが上手くいかないのも亀生と人生の共通点らしいですわ。この家の庭はコンクリートに覆われていて、池を掘れる場所なんてありませんでしたの。そしてわたくしはよく分からないのですけれども、何かをするには『おかね』というものが必要らしいですわ。この辺りは、わたくしたちとは決定的な違いね。自分の身体以外の何かが必要だなんて、本当に理解できないわ。一体どうなっているのかしら?



だけどわたくし思いましたの。


誰も知らないのなら、これはみんなに知らせるべきなんじゃないかって。


こんな素晴らしいことがあるのなら、沢山の人に知って貰えば、きっと誰かが作って下さるはずですわ。そうでしょう?


もしかしたら、作りたいのに作れなくて困ってる人間も居るかもしれませんわ。そんな人は、この話を聞いてきっと喜ぶはずだと、そう思いましたの。


そこにわたくしが住めないのは残念ですけれども、他の亀や生き物もきっと喜びますわ。素晴らしい場所が増えれば、わたくしはそれはそれで嬉しくてよ?世の中には、美しい場所は多い方がいいでしょう?


それに、もしかしたら誰かがわたくしたちの池を作るのを手伝ってくれる……コホン。いいえ、それは過ぎた望みと言うもの。多くを望んではいけないわ。……でも、嗚呼あんな池に住めたらどんなに良いか!願わずには居られませんわ。



そんなわけでわたくし、この人間の娘の手を借りてこのことを広く伝えようと筆を……いいえ、すまほを手に取りましたの。(実際に文章を打って居るのは彼女ですけれども)


わたくしが記したこのブログが、多くの人にお話を伝えられるという、人類の英知であるといういんたーねっとを通じて、どうか広く伝わりますよう……。池や小川に憩う生き物が、少しでも増えると嬉しいですわ。


では、ごゆっくりしていらしてね?

花子